職人の技術の結晶として世に誕生した時計の歴史や豆知識をご紹介します。古くは機械式時計の誕生に関するエピソードから、技術の進化によって翻弄されることとなった時計の歴史なで。モノとしての魅力はもちろん、その背景や歴史によってさらに愛着がわいてきます。
1790年にジュネーブの時計商「ジャケ・ドロー・アンド・ルショー」のカタログに記載されている腕時計が最古の記録として残されています(ただし、現物は残されていません)。現存する最古の時計としては、1806年にパリの宝石商が貴族のために制作した、時計を中に組み込んだエメラルドのブレスレットと言われていますが、腕時計というよりはブレスレットに近いものだったそうです。
1点物として製作される宝飾品としての腕時計ではなく、実用品として製品化された記録が残っています。1879年、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世が自国の海軍用としてジラール・ペルゴに腕時計2000個を発注したというものです。
その後、オメガが腕時計を商品化しましたが一般の普及までは至らず、依然として懐中時計が主流でした。1911年、カルティエが友人の飛行家アルベルト・サントス・デュモンに頼まれて紳士時計「サントス」を開発。この「サントス」がパリの社交界で話題となり、量産が始まりました。
そして1914年の第一次世界大戦をきっかけに懐中時計から腕時計へと主流が移り、腕時計は普及のスピードを速めていきました。
普及とともに進化を始めた腕時計。当初は懐中時計と同じく動力源は手巻き式が採用されていましたが、1931年にロレックスが自動巻き腕時計を発表します。自動巻き腕時計は、腕を動かすことによってローターが転がりゼンマイが巻き上げられる仕組みで、着用さえしていれば永久に動くという革新的な発明です。
この自動巻き腕時計の基本的な仕組みは、発明から半世紀以上経った現在でも変わっていません。
時計の機構には主に「機械式時計」と「クォーツ式」があります(ほか、電波時計などもあります)
機械式腕時計は内部にたくさんの歯車がひしめきあい、ゼンマイで動く腕時計です。「手巻き式」と「自動巻き」があり、ゼンマイを巻き上げることで無数の歯車が回転を始め、時を刻みます。
クォーツ式と比べると正確さが異なり、日に±10~30秒ほどの誤差が生じます。
クォーツ式腕時計は、水晶に交流電圧をかけて発生する規則的な振動を活用したもので、精度・製造コストともに機械式腕時計より優れています。
1970年代にセイコーが特許を公開したことにより、全世界で正確な時計が安価で大量に作られるようになり、高価な機械式腕時計のメーカーが窮地に立たされる「クォーツショック」が巻き起こりました。
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